一度は耳鳴りを経験した方は多いと思います。現在は人口の15%前後で耳鳴りをいつも感じており、そのうち4%前後で日常生活に支障をきたしていると報告されています。
老人性難聴には耳鳴りを伴う方も多いので、この数字は更に増えると思われます。
従来は内服薬の治療が行われていましたが、現在は音響治療法が最も有効と考えられています。これは耳鳴り再訓練法(TRT)とも呼ばれています。耳鳴り治療用に開発された特殊な補聴器を使用します。
補聴器販売店での耳鳴り治療は医療法上認められていないので、耳鼻咽喉科で医師にご相談下さい。
耳鳴りの治療法にはその他にもイオン浸透法、低周波レーザー治療等幾つかの方法があります。
※TRT療法について
TRT療法は、本人にとって気になって仕方ない不快な耳鳴りの音も、エアコンや冷蔵庫の音などの日常の生活音と同じように、無視してよい音だということを脳に覚えさせる療法です。耳鳴治療用補聴器のような機械を耳に装着し、脳を耳鳴りに順応させるように訓練します。
治療中は1日中装着します。1ヶ月ほどで耳鳴治療用補聴器を使用している方が楽になり、3ヶ月くらいで耳鳴りに慣れてきます。
この補聴器が合わない方もありますので、十分な試用を経て、購入を検討するのが良いと思います。
当院では、令和2年2月現在113台を無料貸し出し中です。貸し出し希望で待機中の方が154名です。
急に聞こえが悪くなったり、耳のつまった感覚が続いたり、音が響いて聞き辛くなることがあります。
急性低音障害型感音難聴や突発性難聴を発症していることがあります。めまいを伴う方もあります。多くは内耳の病気ですが、聴神経腫瘍、Auditory Nerve Disease(Auditory neuropathy)のような内耳以外の病気もあります。
老人性難聴では高齢者の1/3が補聴器を必要とする状態と考えられています。難聴のために言葉を十分に聞き取れなくなり周囲の人達と会話をしなくなるようです。この状態は認知障害を生じ易いので、耳鼻咽喉科専門医の診断を受け、難聴の進行を予防し、必要なら補聴器の装用も検討するのが良いと思います。
補聴器は自分や家族で通信販売とか販売店で直接購入しないで、まず耳鼻咽喉科医に相談する必要があります。
さらに難聴が進行して言葉が殆ど聞き取れなくなった方には人工内耳があります。80才代でこの手術を受けて聴力を取り戻した方もあります。
めまいは多くの方に生じる症状の一つです。
診断と治療には幾つかの診療科が協力して行う必要もあります。
良性発作性頭位めまい症、メニエール病は内耳由来のめまいとしてよく知られています。
良性発作性頭位めまい症と骨粗鬆症や片頭痛とめまい等、脳外科、神経内科、内科、整形外科、心療内科、精神科等多くの診療科とも関連している症状でもあります。
高齢者のめまいへは、めまいの原因が重複して存在していることも多く、慎重な配慮を必要とします。
いつもは閉じていて何かを飲み込むと開くという働きをしています。耳に何かつまっている感じ、耳に水が入っている感じ、こもる感じ、周囲の音が響く感じなど耳の不愉快な症状は耳管の働きの異常に多い症状です。
いつも開いているのは耳管開放症、飲み込んでも開きにくいのは耳管狭窄症です。
この両方を繰り返している方もあります。耳に自分の声が響き話し辛いという状態やゴーという耳鳴がするのは耳管開放症に多いようです。
耳がつまって聞き辛いという状態は耳管狭窄症に多いようです。
症状が軽度であったり、日によって良くなったり悪くなったりと変動する状態は診断が困難ですので誤診され易いと思われます。
診断にはいろいろな方法がありますが耳管機能検査装置による検査も必要と思います。治療も患者さん一人一人の状態に合った方法を捜していくのが良いと思います。
受診した耳鼻咽喉科医に御相談してみて下さい。
味覚には甘味、旨味、苦味、塩味、酸味があり、その神経は舌を含めた口の中の粘膜だけではなく、のどの粘膜にも存在しています。
人には誰でも味の好き嫌いがあるように味覚には脳の機能が関与しています。
嗅覚は風邪症状の後に発症し易いのですが、鼻づまりや鼻水等鼻の症状が消えても治らず、長期間続く方があります。
中高年女性にはそのような傾向が生じ易く、女性ホルモンのバランスの乱れが指摘されています。
高齢者には嗅覚障害を伴う認知症にも注意が必要です。匂いと味はお互いに影響して日常生活の質を高める働きをしている大切な感覚です。
アレルギー性鼻炎にはスギ花粉症とダニアレルギーへは舌下免疫療法が行われるようになりました。
新しい薬も次々に発表されています。
いろいろな治療で効果が乏しく、特に鼻閉が治りにくい方にはトリクロール酢酸塗布法があります。